第34回東京国際映画祭(2021)コンペティショ部門

2021年10月30日(土)〜11月8日(月)まで東京・日比谷にて、第34回東京国際映画祭が開催。本年は、コンペティション部門が再開。2021年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界各国・地域の応募作品の中から、15本が選出され、各賞が決定された。


《 コンペティション全15作品 》

『アリサカ』(フィリピン)

『バードショット』のレッド最新作
護送中の証人が襲撃され、ただひとり生き残った女性警官が先住民の家にかくまわれる。だが、そこにも追手が迫ってきて…。バターンを舞台に繰り広げられるアクション・スリラー。

監督:ミカイル・レッド
ワールド・プレミア
©TEN17P


『ある詩人』(カザフスタン)

時代を超えて語られる詩人の運命
文壇に認められない詩人の男は、権力に抗って処刑された19世紀の詩人に思いを馳せる…。現代社会における芸術の困難さを描いた、カザフ映画の旗手オミルバエフの最新作。

監督:ダルジャン・オミルバエフ
ワールド・プレミア
©Kazakhfilm


『ヴィラは海の夢を見る』(コソボ/北マケドニア/アルバニア)

男性社会の秩序に挑むヒロイン
夫の突然の自殺の後、ヴェラは家がギャンブルの借金の抵当になっていたことを知らされる。男性優位の環境に抵抗する女性を力強く描いたコソボの女性監督のデビュー作。

監督:カルトリナ・クラスニチ
アジアン・プレミア
© Copyright 2020 PUNTORIA KREATIVE ISSTRA | ISSTRA CREATIVE FACTORY


『オマージュ』(韓国)

明らかになる女性映画監督の歴史
仕事に行き詰まった韓国の女性映画監督が映画の修復の仕事を依頼される。その作業は自国の女性映画監督が辿った苦難な道のりを明らかにする。『パラサイト』(19)のイ・ジョンウンが主演。

監督:シン・スウォン [신수원]
ワールド・プレミア
©2021 JUNE Film. All Rights Reserved.


◇第34回東京国際映画祭『オマージュ』シン・スウォン監督TIFFトークサロンレポート




『カリフォルニエ』(イタリア)

モロッコ人少女の5年間の記録
イタリアの小さな町に暮らすモロッコ人少女の9歳から14歳までに至る5年間をドキュメンタリー・タッチの映像で描く。ドキュメンタリー監督カッシゴリ&カウフマン初の劇映画。

監督:アレッサンドロ・カッシゴリ、ケイシー・カウフマン
アジアン・プレミア
© 2021ANGFILM



『クレール・ランタン』(アゼルバイジャン)

アゼルバイジャンの驚くべき映像美
昨年『死ぬ間際』で第21回東京フィルメックス・グランプリを受賞したバイダロフの最新作。女性を誘拐した罪で服役している男と法学生との対話が美しい風景の中で展開される。

監督:ヒラル・バイダロフ
ワールド・プレミア
© 2021 Ucqar Film. All rights reserved.



『ザ・ドーター』(スペイン)

山小屋で展開される衝撃のドラマ
少年犯罪者の更生施設に住む少女が妊娠する。施設の教師とその妻は、人目を避けて出産できるように少女と山小屋で共同生活を始める。雪の中で展開される衝撃的な心理ドラマ。

監督:マヌエル・マルティン・クエンカ
アジアン・プレミア
© 2021 Mod Producciones, S.L. / La Loma Blanca Producciones Cinematográficas, S.L. / La Hija Producciones la Película, A.I.E.



『三度目の、正直』(日本)

どうしても、諦めきれない。
黒沢清監督『スパイの妻』(20)、濱口竜介監督『ハッピーアワー』(15)の共同脚本、野原位の劇場デビュー作。記憶を失った青年と、その周りにいる人々の秘めた思いが、神戸の街で交錯する群像劇。

監督:野原 位
ワールド・プレミア
©2021 NEOPA Inc.



『市民』(ベルギー/ルーマニア/メキシコ)

失踪した娘を捜す母の壮絶なドラマ
組織犯罪に巻き込まれて行方不明になった娘の行方を捜すシエロは、凄惨な実態を目撃して…。ルーマニアの女性監督がダルデンヌ兄弟のプロデュースによりメキシコで撮影した作品。

監督:テオドラ・アナ・ミハイ
アジアン・プレミア
© 2021 Menuetto/ One For The Road/ Les Films du Fleuve/ Mobra Films



『その日の夜明け』(スリランカ)

若きネルーダが見た英領セイロン
1929年、英領セイロンにチリ領事として赴任した詩人パブロ・ネルーダは、前任地で受けた心の傷を癒すため海辺で静かな生活を始める。植民地時代のスリランカを描いた意欲作。

監督:アソカ・ハンダガマ [අශෝක හඳගම]
ワールド・プレミア
©Asoka Handagama



『ちょっと思い出しただけ』(日本)

切なすぎる最高のハッピーエンド
別れた男女が最愛だった時を遡り、もう一度別れ直す。ジム・ジャームッシュ監督の名作に着想を得て、現代を反映させつつ描いた新しい形のちょっぴりビターなオリジナルラブストーリー。

監督:松居大悟
ワールド・プレミア
©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

◇第34回東京国際映画祭『ちょっと思い出しただけ』松居大吾監督Q&Aレポート




『一人と四人』(中国)

チベット映画期待の監督デビュー作
密猟が横行する雪山。山小屋の管理人の前にひとりの男が現れ、やがてひとり、またひとりとクセのある男たちが山小屋を訪れる。チベット映画の雄、ペマ・ツェテンがプロデュース。

監督:ジグメ・ティンレー [久美成列]
ワールド・プレミア
©Mani Stone Pictures



『復讐』(フィリピン)

スラム街のリアリティを描く衝撃作
警察に目をつけられたバイク泥棒のイサックは、ボスに庇護を頼むが冷たい扱いを受ける。イサックはボスに対する復讐を企むが…。スラム街の犯罪組織の中でもがく男を描いた作品。

監督:ブリランテ・メンドーサ
ワールド・プレミア
©Cignal TV, Inc.


◇第34回東京国際映画祭『復習』ブリランテ・メンドーサ監督TIFFトークサロンレポート




『もうひとりのトム』(メキシコ/アメリカ)

障害を抱えた息子を育てる母親
ADHD(注意欠如・多動症)の症状を持つ息子を育てるシングルマザーは、副作用の危険を感じて息子への投薬治療を拒否する。だがこのために母親は窮地に追い込まれることになる。

監督:ロドリゴ・プラ、ラウラ・サントゥージョ
アジアン・プレミア
© Buenaventura Producciones S.A. de C.V.



『四つの壁』(トルコ)

クルド人音楽家を襲う悲劇、その克服
クルド人の音楽家のボランは、妻と子供を呼び寄せる日を楽しみにしながら部屋のローンを返済するために働いている。そんなボランを悲劇が襲う。『亀も空を飛ぶ』(04)のゴバディによる強烈な人間ドラマ。
監督:バフマン・ゴバディ
ワールド・プレミア
©MAD DOGS & SEAGULLS LIMITED


《 全受賞結果 》

コンペティション部門

◇東京グランプリ/東京都知事賞:『ヴェラは海の夢を見る』(カルトリナ・クラスニチ監督)

◇審査員特別賞:『市民』(テオドラ・アナ・ミハイ監督)

◇最優秀監督賞:ダルジャン・オミルバエフ監督(『ある詩人』)

◇最優秀女優賞:フリア・チャべス(『もうひとりのトム』)

◇最優秀男優賞:アミル・アガエイ、ファティヒ・アル、バルシュ・ユルドゥズ、オヌル・ブルドゥ(『四つの壁』)

◇最優秀芸術貢献賞:『クレーン・ランタン』(ヒラル・バイダロフ監督)

◇観客賞:『ちょっと思い出しただけ』(松居大悟監督)

アジアの未来部門作品賞

『世界、北半球』(ホセイン・テヘラニ監督)

Amazon Prime Video テイクワン賞

『日曜日、凪』(金允洙監督)

Amazon Prime Video テイクワン審査委員特別賞

『橋の下で』(瑚海みどり監督)


[ スチール:TIFF/文:おくの ゆか ]




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