第68回ベルリン国際映画祭2018 日本関連作品

第68回ベルリン国際映画祭2018 日本関連作品

新旧の13作品がベルリンで上映!

日本のピンク映画特集もあるヨ‼︎


世界三大映画祭の一つとなる第68回ベルリン国際映画祭が2018年2月15日〜25日までドイツのベルリンで開催される。2月6日から、その上映プログラムがオンラインで公開されたので、日本に関連する作品をセクション毎に紹介したい。

◼️ベルリナーレ スペシャル(Berlinale Special)

エンターテインメント性や話題性の高い特別作品を上映するために2004年から設けられた。

◻️『坂本龍一: async AT THE PARK AVENUE ARMORY』(2017)

坂本龍一は、2014年に中咽頭がんと診断されて、1年に及ぶ闘病生活を経て、2017年春に8年ぶりのオリジナルアルバム「async」をリリース。このアルバムリリースを記念して、ニューヨークのパーク・アベニュー・アーモリーで2日間にわたるライブを開催。1公演の観客が100人のみという貴重なライブの模様をスティーブン・ノムラ・シブル監督が映像化。
原題:RYUICHI SAKAMOTO: async AT THE PARK AVENUE ARMORY
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一
製作年度:2017年
上映時間:65分
製作国:米国、日本
≪ストーリー≫
世界的に活躍する音楽家の坂本龍一が2017年にニューヨークで開催したパフォーマンスの模様を収めたライブムービー。

◼️パノラマ(PANORAMA)

◻️『リバーズ・エッジ』(2018)

岡崎京子原作「リバーズ・エッジ」を『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)、『ナラタージュ』(2007年)の行定勲監督が女優の二階堂ふみと組んだ作品。日本では、2018年2月16日公開予定。
英題:River's Edge
監督:行定勲
原作:岡崎京子
脚本:瀬戸山美咲
出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨
製作年度:2018年
上映時間:118分
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
映倫区分:R15+
≪ストーリー≫
若草ハルナ(二階堂ふみ)は母と二人暮しの女子高生。同級生の山田一郎(吉沢亮)は一部の女子から高い人気を得ているものの、ハルナの彼氏の観音崎(上杉柊平)に必要以上にいじめられている。見かねたハルナが山田を助けると、山田はハルナに危険な秘密を打ち明けた。それは河原に放置された人間の死体。そんな秘密を知ったハルナと発見者の山田と過食症の吉川こずえ(SUMIRE)の3人はこの秘密の共有者となる。


◼️パノラマ スペシャル(PANORAM Special)

◻️『予兆 散歩する侵略者』(2017)

『岸辺の旅』(2015年)、『散歩する侵略者』(2017年)の黒沢清監督が劇団「イキウメ」の舞台を映画化した『散歩する侵略者』のアナザーストーリー。スピンオフとして制作されてWOWOWで放送&ネット配信された全5話を「劇場版」にまとめた作品。
英題:Yocho (Fore boding)
監督:黒沢清
原作:前川知大
脚本:高橋洋
出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの
製作年:2017年
上映時間:140分
製作国:日本
配給:ポニーキャニオン
映倫区分:G
≪ストーリー≫
家に幽霊がいるという同僚の浅川みゆきの精神状態を心配した山際悦子(夏帆)は、夫の辰雄(染谷将太)が勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきには、家族という概念が欠落していることが分かる。


◼️フォーラム(Forum)

◻️『港町』(2018)

国内外で高い評価を受ける映画作家・想田和弘監督の「観察映画」の新境地であり、同時に現代映画のひとつの到達点である。ドキュメンタリー映画の臨界点。2018年4月公開予定。
英題:Minatomachi (Inland Sea)
監督:想田和弘
製作年:2018年
上映時間:122分
製作国:日本・アメリカ合作
配給:東風、gnome
≪ストーリー≫
美しく穏やかな内海。小さな海辺の町に漂う孤独と優しさ。やがて失われてゆくかもしれない、豊かな土地の文化や共同体のかたち。そこで暮らす人々。静かに語られる彼らの言葉は、町そのもののモノローグにも、ある時代のエピローグにも聞こえる。そして、その瞬間は、不意に訪れる。

◻️『わたしたちの家』(2017年)

2017年PFFアワードグランプリ受賞作品。東京藝術大学大学院で黒沢清、諏訪敦彦に師事した清原惟監督の劇場デビュー作。2018年1月18日より公開中。
英題:Our House
監督:清原惟
脚本:清原惟、加藤法子
出演:河西和香、安野由記子、大沢まりを、藤原芽生、菊沢将憲
製作年:2017年
上映時間:80分
製作国:日本
配給:HEADZ
≪ストーリー≫
父親が失踪して以来、母の桐子と2人暮らしをするセリはもうすぐ14歳。母に新しい恋人ができたことで複雑な気持ちになっていた。一方、目が覚めるとフェリーに乗っていたさなは、自分に関する記憶を失くしていた。あてのないさなは船の中で出会った透子の家に住まわせてもらう。父親を失ったセリ、記憶を失ったさな、まったく別々の2つの物語が一軒の同じ家の中で進行していく。

◻️『あみこ』(2017年)

2017年PFFアワード観客賞受賞作品。スタッフ・キャストをSNSで募集した。山中瑶子監督は、ベルリン映画祭に正式出品された長編映画監督史上、最年少監督となる。
英題:Amiko
監督:山中瑶子
脚本:山中瑶子監督
出演:春原愛良、大下ヒロト、峯尾麻衣子、長谷川愛悠、廣渡美鮎、阿部悠季乃、金子銀二
製作年度:2017年
上映時間:66分
製作国:日本
≪ストーリー≫
女子高生あみこは、アオミ君に対して崇拝に近い特別な感情を抱く。しかし、ある日彼は家出をする。あみこのときに斜に構え、ときに自虐的な、脳内の一人漫才が鮮やかに炸裂する。

◻️『山谷─やられたらやりかえせ』(1985)

日雇い労働者達の過酷な労働と生活で知られる東京都の下町・山谷を舞台にしたドキュメンタリー作品。労働者を描いた作品として他に類を見ないリアルがある。撮影中に暴力団組員の凶刃に斃 れた佐藤満夫監督の断ち切られたフィルムをつないだ山岡監督も1986年1月13日に暴力団組員によって射殺された。
英題:Yama-Attack to Attack
監督:佐藤満夫、山岡強一
製作年度:1985年
上映時間:110分
製作国:日本
≪ストーリー≫
「山谷越冬闘争を支援する有志の会」に所属してい た佐藤満夫監督は、1984年12月に山谷のど真中にカメラを据えて、山谷労働者の姿を正面から撮影するドキュメンタリー映画制作の作業に取りかかった。ところが、クランクインしてまだ1か月もたたない1984年12月22日早朝、佐藤満夫監督は、暴力団組員の凶刃に斃 れ、山谷の路上に倒れた。微かにまだ息のある佐藤満夫監督自身の姿が物語の始まりとなっている。

◇特集:佐藤啓子へのピンク映画の賛辞(A Pink Tribute to Keiko Sato)

ピンク映画とは、日本の映画界斜陽の1960年代に生まれたジャンルで、大手以外の映画製作会社が製作・配給したポルノ映画。性描写に力点を置きつつも、一般映画としての質を望むことも多く、映画とポルノのクオリティが共存する日本独特の物となる。映画監督の登竜門としても重要な役割を果たしていた。

今回、数多くのピンク映画を企画・製作した国映株式会社代表の佐藤プロデューサーをフィーチャーした特集が組まれている。佐藤氏は、朝倉大介のネーミングで50年以上にわたって1,000本以上の映像作品をプロデュースしており、業界では「お姉さん」の愛称でピンク映画や若手の映画監督を生み出す原動力の一つの存在として注目されたという。本特集では、下記の3作品が4K化されて世界で初披露される。

◻️『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984)

『Shall we ダンス?』(1996)、『舞妓はレディ』(2014年)の周防正行監督が小津安二郎監督のカメラワークを参考にしたデビュー作品。当時33歳の大杉漣が老人役を演じている。種田陽平が美術監督をしている。
英題:Abnormal Family
監督:周防正行
脚本:周防正行
出演:風かおる、山地美貴、麻生うさぎ、大杉漣、下元史朗
製作年度:1984年
上映時間:63分
製作国:日本
≪ストーリー≫
間宮家の長男の幸一と結婚した百合子は、父や姉弟が暮らす実家で同居生活をはじめる。義父はスナックのママに熱を上げて、義妹の秋子は風俗でソープ嬢として働くようになり、義弟の和夫は万引きで警察に捕まってしまう。そんな家族を百合子は温かく見守っている。やがて幸一がバーのママに恋をして家を出ていった。

◻️『荒野のダッチワイフ』(1967)

海外で人気の高い鈴木清順監督作の脚本家としても知られる大和屋竺監督の作品。アイデアは、デヴィット・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』(2001年)を彷彿させる。
英題:Gushing Prayer
監督:大和屋竺
脚本:大和屋竺
出演:港雄一、山本昌平、大久保鷹、麿赤兒、辰巳典子、渡みき
製作年度:1967年
上映時間:85分
製作国:日本
≪ストーリー≫
殺し屋のショウ(港雄一)は、不動産経営者のナカ(大久保鷹)に仕事を依頼される。ナカの恋人(辰巳典子)が誘拐されたという。主犯格の男がコウ(山本昌平)であることを知ったショウは、コウに殺された恋人(渡みき)のために、コウへの復讐を心に誓うのであった。

◻️『噴出祈願/十五才の売春婦』(1970)

『幽閉者 テロリスト』(2007)の足立正生監督が若松孝二とパレスチナ革命に身を捧じる直前に撮影した思春期の少年、少女の性衝動を描いた作品。
英題:Inflatable Sex Doll of the Wastel ands
監督:足立正生
脚本:足立正生(出口出)
出演:佐々木天、斉藤博、マキコ・キム、青木幽児、平岡正明
製作年度:1970年
上映時間:72分
製作国:日本
≪ストーリー≫
高校生の保子は大人の真似をしてセックスをし、誰の子かわからない子どもを身ごもってしまう。セックスに勝つことを論じ合う乱交仲間たちの提案で娼婦となる保子だった。

◼️ジェネレーション(Generation Kplus)

◻️『Blue Wind Blows』(2018)

短編映画『終点、お化け煙突まえ。』(2013年)の富名哲也監督の長編初監督作品。2015年に釜山国際映画祭アジア映画ファンドの脚本開発部門で日本から初めて選出された企画。父親がお化けにさらわれたと信じる少年とその家族の物語。全編新潟の佐渡島で撮影されて、海岸の街並みを背景に詩的に夢や損失感などを描く。
原題:Blue Wind Blows
監督:富名哲也
脚本:富名哲也
出演:田中日月、内田也哉子、内田裕也、萩原聖人、森山開次、田中椿
製作年度:2018年
上映時間:88分
製作国:日本
≪ストーリー≫
アオは、佐渡島で母と妹キイと暮らしている。彼は、消えた父を恋しく思っている。アオは、学校の図書館で静かに本を読む神秘的なサヨコと友だちになる。二人の間に言葉はほとんど必要ではなかった。


◼️ベルリナーレ クラシック(Berlinale Classics)

◻️『東京暮色』(1957年)

『早春』(1956年)以来、小津安二郎と野田高梧のコンビが執筆した脚本から小津安二郎が監督した最後の白黒作品。ジェームズ・ディーン出演映画『エデンの東』(1955年)の小津的翻案ともいわれており、父を裏切って家出をした母を求める娘の激情を描いている。
英題:Tokyo Boshoku/Tokyo Twilight
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
出演:笠智衆、有馬稲子、信欣三、原節子、森教子、山田五十鈴
製作年:1957年
上映時間:140分
製作国:日本
≪ストーリー≫
停年もすぎた監査役の銀行家・杉山周吉(笠智衆)は、次女の明子(有馬稲子)とふたり静かな生活を送っていた。長女の孝子(原節子)は、評論家の沼田康雄(信欣三)に嫁いで子どもをもうけ、明子の将来さえ決まれば一安心なところ。しかし、最近明子の帰宅が遅くなりがちな上に、姉娘の孝子が突然子どもを連れて実家に帰ってきた。

◼️料理のシネマ(Culinary Cinema)

◻️『ラーメン・テー』(2018年)

シンガポールと日本の外交関係樹立50周年(2016年)をきっかけに、両国を題材にしたこれまでにない作品を生み出すべく企画。それぞれの国のソウルフードである肉骨茶(バクテー)とラーメンを軸に二国間で交錯する「家族愛」を描出。
原題:Ramen Teh
監督:エリック・クー
出演:斎藤工、松田聖子、ジャネット・アウ、マーク・リー、別所哲也
製作年度:2018年
上映時間:89分
製作国:シンガポール、日本、フランス
≪ストーリー≫
高崎でラーメン屋を営む若き店主マサト(斎藤工)は、父の突然の死に際し、既に他界していたシンガポール人の母メイリアンの思い出が詰まった赤いノートを見つける。彼は、両親が歩んできた道を辿るべくシンガポールへ。現地で出会った日本人フードブロガーのミキ(松田聖子)のサポートを受けて、祖母マダム・リーとの出会いを果たし、知られざる父と母の激しくも切ない愛の物語を知る。


第68回ベルリン国際映画祭(2018)
会期: 2018年2月15日〜25日

[文:シネマ侍編集部 おくのゆか]

シネマ侍 CINEMA-SAMURAI

世界の秀作シネマを紹介! We will introduce the world's best cinemas to you on this web site.

0コメント

  • 1000 / 1000