「電影2018」東京オープニング・セレモニーレポート
「電影2018」東京オープニング・セレモニーレポート
中国映画祭「電影2018」幕開け!
『奇門遁甲』主演、『シティ・オブ・ロック』主演・監督ダーポンは何にでもなれる粘土⁉︎
最も撮りたかった『無言の激昴』シン・ユークン監督最新作!
感動の『芳華-Youth-』フォン・シャオガン監督ビデオメッセージ!
2018年3月8日(木)に東京・TOHOシネマズ六本木にて中国映画祭「電影2018」の幕が開き、オープニング作品『芳華-Youth-』の上映に引き続き、オープニング・セレモニーが開催された。
中国映画祭「電影2018」は、2017年に日中両国の国交正常化から45年を迎えたことを記念し、国際交流基金、公益財団法人ユニジャパン(東京国際映画祭)が上海国際影視節中心(上海国際映画祭)との共同で映画を通じた日中交流事業を取り行っている。その一環として、東京・大阪・名古屋の3都市にて、2018年公開予定作品を含む最新の中国映画を紹介する映画祭である。その記念すべきオープニング作品はフォン・シャオガン(馮小剛)監督『芳華-Youth-』(2017年)でチケットは完売であった。
◾️オープニング・セレモニー
〈主催と来賓の挨拶〉
オープニング・セレモニーでは、主催の国際交流基金 理事長・安藤裕康、上海国際影視節中心 総経理助理・於侃、来賓の内閣官房副長官・西村康稔、中華人民共和国 駐日本大使・程永華が登壇した。
◻️日本側主催:国際交流基金 安藤裕康理事長
みなさま、本日は雨の中にも関わらず、多数こうしてお越しいただいて、心からお礼を申し上げます。このところ、中国と日本の間で映画をめぐる交流が大変活発化しております。日中映画共同製作協定の大筋合意、その成果として日中共同製作映画の完成。具体的には『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』(2018年)や『マンハント』(2018年)など幾つかあると思います。さらには、このような映画交流の機会があり、日中両国での相互上映や日中の映画人の交流が大変活発化しております。これもひとえに今日ご出席の西村内閣官房副長官、程永華駐日大使、その他ユニジャパン理事長など、たくさんの映画人の方々のご尽力あってのことと思いまして、改めてお礼を申し上げます。その流れの中で、今日の中国映画祭があるわけですけれども、こうしてたくさんの方々に来ていただきまして、日本の東京以外でもこの映画祭が行われます。映画というのは、国際交流を活発化する大変有効なツールですから、映画を通じて映画の分野を通じて、日中の友好がさらに深まるよう記念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
◻️中国側主催:上海国際影視節中心 於侃総経理助理
ご来場のみなさま、こんにちは。2017年は中日国交回復45周年でした。また、今年は中日平和友好条約締結40周年にあたります。まさに、このときに上海国際映画祭と日本の国際交流基金、ユニジャパンが共同で中日新作映画上映会を開催して実施に取り組んできました。まず、昨年の12月には、上海、深圳、昆明の3都市の5ヶ所の映画館で10本の日本映画を上映し、45回の上映で観客動員数は延べ17,184人に達しました。そして、本日から、東京・大阪・名古屋の3都市で中国で公開されたばかりの、あるいは、未公開の最新の10本の中国映画を上映いたします。この場をお借りしまして、上海国際映画祭を代表しまして、日本の国際交流基金、ユニジャパン、ご尽力をいただきました関係各位に崇高なる敬意を評し、深く感謝申し上げます。映画を通して、中日両国間の文化交流と人的交流がいっそう活発になるよう期待しております。最後に、この中国映画祭「電影2018」の成功を記念し、ご来場のみなさまのご健康をお祈り申し上げるとともに、中日両国の映画文化の交流が両国関係の発展をさらに促進することを心から願って、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。
◻️来賓:西村康稔内閣官房副長官
みなさま、こんにちは。内閣官房副長官をつとめております西村康稔でございます。今日は大勢のみなさんにお越しいただきましてありがとうございます。「電影2018」の開催を心から応援したいと思います。私は20年前ほど前に経済産業省にて映画産業の進展にたずさわっており、映画に対する想い入れは人一倍でございます。こよなく映画を愛する1人でございます。時間が許せば、毎週映画館に来て妻と2人で映画を楽しみたいと思っています。今日は国会が大変な状況で、来れるかと心配をしておりましたけれども、この時間だけはお許しが出て来ることができました。先ほどみなさんにご覧いただいた『芳華-Youth-』は、恋や運命に翻弄される人々の姿を描いた作品で、程大使によりますと、「人の波を美しく描いた映画」だということです。私は残念ながら観ることは出来なかったのですけれども、ぜひ機会を見つけて観てみたいです。映画は国境を超えて人々の心に訴えて、交流に深く貢献し、交流に深くつながってゆく。映画はそういう美しいものです。日本政府でも、関係者のみなさんと相談しながら、議論を交えながら、日中間の映画の交流について成果をあげまして、日中映画共同製作の大筋合意に至ったところです。今後も日中両国間の映画を通じた交流がさらに活発化していくことに期待していきたいです。この映画祭でみなさんにも中国の映画の理解や感動をぜひ味わってください。まさに日中平和友好条約締結40周年に開催される映画祭が日中相互の理解、さらなる交流、日中の発展につながることを期待しております。今日は大いに楽しんでいただきたいと思います。
◻️来賓:中華人民共和国 程永華駐日本大使
みなさま、こんにちは。駐日大使の程永華でございます。今日は多くのみなさまと一緒に、この中国映画祭「電影2018」の開幕を迎えられたことを心から喜ばしく思っております。私も映画を観ることが非常に大好きです。本当に映画というのは文化交流に非常に大きな影響を果たします。先ほど、西村内閣副官房長官もおっしゃったように、映画は本当に国境を越えるものであります。人々の生活や心を本当に強く結びつけてくれる素晴らしい媒体です。今回は、中日平和友好条約締結40周年を記念した映画祭でございます。この40年は中国と日本の間で映画の交流が非常に発展した時期でした。40年前といいますと、ちょうどその頃の日本では、吉永小百合さんや松坂慶子さんたちと色々とお話をさせていただきました。本当にこの40年の間は中日映画交流の素晴らしい時期であったと回想しております。私も過去に中国と日本の間で合作として作られた『敦煌』(1988年)や『天平の甍』(1980年)、『未完の対局』(1982年)などの作品を観ました。最近、中国と日本の間の映画界では新たな動きが起こっております。最近の中国では、日本の人気アニメ『ドラえもん』シリーズや『君の名は。』(2016年)など、本当に人気があります。そして、ごく最近では、私は日本の有名な作家である夢枕獏先生原作、中国の有名な監督であるチェン・カイコー監督がメガホンをとった中国の原題『妖猫傳』(2017年)、日本では『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』という作品を観ております。このような時期に中国と日本の間で協定を結びました中日映画共同製作協定、このことは映画界の動きを進めていく非常に大きな動力になると確信しております。今回の映画祭で上映される10本の作品は、中国でごく最近に制作されたものであり、まだ中国でも未公開の作品も含まれております。このような作品を通じて、日本の観客のみなさまには、様々な中国の顔、活き活きとした新たな発展に向けて動いている中国の姿をご覧いただけるのではないかと確信しております。今回、このような中日の双方で開催する映画祭を契機といたしまして、双方がなおいっそう民間の友好交流や実務的な合作を進めて、両国の人々の心の距離を縮めて、相互理解を促し、中日関係の改善と発展に積極的な貢献をするように心から願っております。最後にこの度の映画祭の開催に向けてご尽力くださいました政府のみなさま、国際交流基金、公益財団法人ユニジャパン、上海国際影視節中心など中日双方の関係団体とみなさまに心より感謝を申し上げます。この映画祭の発展を心よりお祈り申し上げます。
◼️オープニング上映『芳華-Youth-』フォン・シャオガン(馮小剛)監督ビデオメッセージ
会場が大いに泣いた『芳華-Youth-』の感動冷めやらぬ中、フォン・シャオガン(馮小剛)監督のビデオメッセージが会場に届けられた。
この度は、上海国際映画祭、東京国際映画祭、国際交流基金のおかげで、私の新作『芳華-Youth-』が日本で上映することができました。『芳華-Youth-』を応援していただいているみなさんに感謝いたします。そして、これから日本映画業界とのさらなる交流を心より期待しております。最後に中国映画祭(「電影2018」)のご成功をお祈りします。ありがとうございました。
◼️「電影2018」上映ゲスト
〈来日ゲストの挨拶〉
『シティ・オブ・ロック』では監督・主演、『奇門遁甲』でも主演をつとめるダーポン(大鵬)監督、『無言の激昴』のシン・ユークン(忻鈺坤)監督、ウェン・スーチン(温素純)プロデューサーの3名が登壇した。
◻️『シティ・オブ・ロック』監督・主演、『奇門遁甲』主演ダーポン(大鵬)監督
みなさん、ありがとうございます。私はダーポンといいます。日本に来ることがはじめてでして、日本に着いた途端にこうしてみなさんと交流することが出来まして、たいへんうれしく思います。私が出演した映画と監督をした映画が明日(2018年3月9日)上映されます。上映後にみまさんとお話出来ますことを楽しみにしております。今日は雨にも関わらず、みなさん、お越しくださいまして、本当にありがとうございます。これからも、いっそう交流を深めて、色々な経験を積んでいきたいと思います。
◻️『無言の激昴』シン・ユークン(忻鈺坤)監督
みなさん、こんにちは。私は監督のシン・ユークンです。まず、主催の方々に感謝申し上げます。今回、お招きくださいまして、自分の映画をたずさえて日本のみなさんとお会いすることが出来まして、本当に光栄に思います。私の映画の上映後には、日本の観客のみなさんと可能な限り交流したいと思います。みなさんが私の映画を観てくださって、どのような感想や感動、理解をされたのかなどを知りたいと思っております。日本には、私が尊敬する映画監督がたくさんいらっしゃいます。出来れば、今回の来日を機会にあちこち伺って、色々なことを見聞きして学びたいです。どういう風に彼らが映画を作っているのかも見てみたいと思います。また、観客のみなさんも、これを機会により多くの中国映画や若手監督の映画を観ていただけたらと思います。このような交流の機会が益々増えることを期待しております。
◻️『無言の激昴』ウェン・スーチェン(温素純)プロデューサー
みなさん、こんにちは、私は『無言の激昴』のプロデューサーのウェン・スーチェンです。自分のプロデュースした作品をたずさえて日本に来ることが出来まして、本当にうれしく思います。みなさんと交流出来ますことを心から楽しみにしております。今回の映画は、シン・ユークン監督の新しい試みがなされています。この作品は、シン・ユークン監督が一番最初に撮りたかった作品なのです。1作目の『心迷宮』も良い作品なのですけれども、監督が最初に撮りたかった作品を上映させていただきます。
〈来日ゲストに質問〉
◻️マルチなダーポン監督に「俳優として観てほしいところ」は?
俳優やコメディアン、MC、監督、脚本とたいへんマルチに活躍をしているダーポンに対して、今回、日本のファンに対して俳優としてのココを見てほしい点について質問したところ、隣に立つシン・ユークン監督は笑い出し、ダーポンは次のように答えた。
ありがとうございます。実は、昨年上映された『芳華-Youth-』のフォン・シャオガン監督の別の作品である『わたしは潘金蓮じゃない』(2016年)にも出演をしていました。日本の観客のみなさんでこの映画をご覧になられた方はいらっしゃいますか。ずい分、大勢の方がご覧になられているのですね。(日本では、第12回大阪アジアン映画祭2017にて上映) では、その映画の中で、私がどんな役を演じていたのか覚えている方はいらっしゃいますか。覚えていらっしゃいますでしょうか。実は、この覚えていない状況が答えなのです。その映画の中で私がどこにいたのかみなさんが分からなかったことが解答なのです。その映画の中では、私はファン・ビンビン(范冰冰)の従兄弟で地方の裁判官の役を演じていたのです。私は役者として、常に粘土のような存在でありたいのです。監督がどんな風にでも作ることのできる役者になりたいと思っています。これからも役者として色々な映画に出演したいですし、ぜひ役がばれないように役作りをしていきたいですね。
◻️日本に到着したばかりのシン・ユークン監督
今しがた日本に到着したばかりのシン・ユークン監督に外は寒くなかったかと訊ねると、「とても快適でした。全然寒くなかったです。」と笑顔。いきなり空港からこの映画館にやって来て、日本の観客を目の前にした初来日の気持ちを質問されると、次のように返事があった。
飛行機が着陸したときから、周りをキョロキョロ見てみたり、車の移動では、車中から町の様子をずっと眺めていました。今回、私にとっては初めての来日なので、全てが興味深いことなのです。日本の映画関係者のみなさまの環境の中で、自分の文化や風土などから、どのように映画を作っているのか非常に興味をもっております。
最新の中国映画を上映する「電影2018」が東京会場からスタートした。fm GIG シネマ侍では、来日ゲストのティーチインレポートやシネマレビューなどを掲載予定である。
[スチール:久保昌美/文:おくの ゆか]
0コメント