第33回東京国際映画祭『サマーフィルムにのって』舞台挨拶レポート
気合いで寒さを吹き飛ばし、夏休みの青春SF映画を撮影!時代劇・SF・恋愛・友情が玉手箱のように詰まった新しくて懐かしいひと夏の物語。
2020年11月2日(月)、第33回東京国際映画祭の特別招待作品『サマーフィルムにのって』が東京・TOHOシネマズ六本木にて上映された。上映後に舞台挨拶が行われて、松本壮史監督とハダシ役の伊藤万理華、凛太郎役の金子大地が登壇した。
ーー皆さま、どうぞ大きな拍手でお迎えください。『サマーフィルムにのって』ハダシ役の伊藤万里華さんどうぞ。凛太郎役の金子大地さん、そして、松本壮史監督です。皆さま、東京国際映画祭にようこそいらっしゃいました。この素晴らしい作品を届けてくださって、たいへん光栄に存じております。皆さまから、今回の初上映を終えられたお気持ちと、皆さまへのご挨拶のお言葉を頂戴できたらと思います。松本監督、お願いいたします。
松本監督:このような晴れ舞台で上映することができて、たいへん光栄に思っております。今日は、よろしくお願いいたします。
ーー続きまして、金子大地さん、よろしくお願いいたします。
金子:はい、こんにちは。凛太郎役をやらせていただきました金子大地です。こういう時期に、足を運んでくださいまして、この作品を観てくださいまして、本当にありがとうございます。どうでしたか。
( 会場から拍手 )
金子:ありがとうございます。僕自身、すごく自信作だったので、こういう反応が見れて楽しいです。今日は、楽しんでいってください。よろしくお願いいたします。
ーーありがとうございます。伊藤万里華さん、よろしくお願いいたします。
伊藤:はい、ハダシ役を演じました伊藤万里華です。本日は、映画祭という憧れの場所に、こんな風に立てて嬉しいです。今日は、楽しんでいってください。よろしくお願いいたします。
ーーどうもありがとうございます。松本監督、この作品は、三浦直之さんの脚本でありますけれども、青春映画であり、恋愛映画であり、時代劇であり、SFであり、物語であり、いったい、どこから取り組んでやろうかと思い立ったのですか。
松本監督:まずは、青春映画を取ろうというところから始まって、部活ものにしよう、物を作る話にしよう、映画作りにしよう。そこで、映画作りの題材は何にしようということになって、何個か色々と作る映画を。ちょっと、ロマンポルノ的な映画を作ろうという候補もあったのですけれども(笑)。
ーー高校生で?
松本監督:そうです。候補が何個かあって、考えていくうちに、未来から主人公のファンが来るという設定を思いついたときに、時代劇を好きな子がやったら、矢印が過去に向かったら面白いかなということで、そこから、青春とSFという二大柱で、色々と詰め込む感じです。
ーー想像とアイデアが詰まっているわりには、ごちゃごちゃしている感じがなくて、本当に爽やかに完成されているのが、私も観ていて、すごく感じたのですが。
松本監督:ありがとうございます。
ーー伊藤さんは、脚本を読まれたときに、「これは大変だ」と思われましたか。どのようにお感じになられましたでしょうか。
伊藤:私は、監督の松本さんと三浦さんとは、2年前にショートフィルムでご一緒していて、そのときから、映画をやりたいんだっていう話は聞いていて。やっと、お話をいただいたときに、ただの時代劇オタクというだけではなく、最後に本当に殺陣が入るというところとか、やったことがないから大丈夫かなという思いがありました。
ーー金子さんは、いかがでしたか。この役をどうしようかと思われましたでしょうか。
金子:まさか、未来から来た人を演じるとは思っていなかったので。僕も、以前、三浦さんとは、ドラマで一緒にお仕事をしたことがあるのですけれども、脚本を読んだときに、三浦さんしか書けないような話だと思って。全然、映像が想像できていなかったのですけれども、試写を観たときに、本当に感動して、演じれて良かったと思いました。
ーー伊藤さんは、時代劇には、どういうイメージを持っていらっしゃいましたか。
伊藤:時代劇は、あまり観ていなくて、これを機に、ハダシとしてたくさんの作品を観ようとしたのですけれども、観たときに、ずっと色褪せない、私の世代でも楽しめるエンタメもあるし、ラブストーリーもあるし。まさに、ハダシが描きたかった時代劇が詰まっていて。だから、ハダシもこんなに惚れ込んで、オタクになっちゃったんだと思ったし、「勝新(勝新太郎)の『座頭市』はシビれるな」とか、思いました。
ーー伊藤さんもそうでしたか。ハダシが部室で黒板に色々な時代劇をレクチャーして、皆んなが寝ているシーンがありましたよね。あの中の一本の『無法松の一生』が、今回、東京国際映画祭で4Kデジタルリマスター化されて上映されています。もし、今週末、お時間がおありでしたら。
伊藤:はい、行かないと。
ーー金子さんは、時代劇には、どういう印象でしたでしょうか。
金子:日本が誇る日本映画であったり。
ーー殺陣は、ご経験があったのでしょうか。
金子:殺陣は、今回が初めてですね。相手が伊藤さんだったので、すごく練習をしたよね。
伊藤:本読みの後に練習に取り掛かって。すごくみてくださって、なんとかできた。
ーー監督は、どのように殺陣を二人に指導されたのでしょうか。
松本監督:アクション監督の方がいて、僕は、ずっと見ていただけだったのですけれども(笑)。二人とも、すごくセンスがあって。伊藤さんは、もともと、ダンスがお上手なのは、知っていたのですけれども。金子君も、身のこなしが最初から軽やかで、すぐに出来ていましたよね。
伊藤:出来ていました。
ーーハダシの勝新の居合い抜きのポーズがとても決まっているのですけれども。
伊藤:やっぱり、時代劇オタクで勝新オタクとして、そこは、ものすごく研究しました。きっと、これから『サマーフィルムにのって』を観る方には、時代劇が大好きで、勝新が大好きみたいな方もいらっしゃると思うのですよ。その方たちにも、ちゃんと、納得していただけるような動きになれば良いと思って、ポーズだけでも頑張って研究したつもりです。
ーー時代劇の要素もありつつ、SFもあるということで、監督は、この映画をまとめていく中で、とても苦労した部分があるとしたら、どういうところだったでしょうか。
松本監督:ハダシが悩むのが、「映画が無くなる未来がある」ということだけれども。ハダシには、巨匠としての未来もあって、その先に映画が無くなる未来がある。そこのボトムがどれだけの人に共感されるのか。観ている人にとっては、「ハダシは巨匠になれるから、それでいいじゃん」と捉えられるかなとも思って、脚本のときから、悩んでいたところですね。
ーーハダシと同じ悩みを、監督も作りながら、抱えていらっしゃったんですね。
松本監督:そうですね。ちょうど、3月に撮影をしていて、コロナで中断して、自粛期間中にラストシーンを残していたのですけれども。ちょうど、映画界も危ないことになっていて、ラストの映画が危ないというストーリーと重なるところがあって、結構、このラストで良いのかと、本気で悩んだりしました。
ーー監督も悩まれたということなんですけれども。先ほど、寒い時期の撮影も重なったと伺ったのですが、伊藤さん、金子さんにお伺いしたいのですけれども、撮影時の辛かったエピソードなどを教えていただけますでしょうか。金子さんから、どうぞ。
金子:とにかく寒かったです。そこがしんどかったです。
伊藤:本当に寒いなと思ったのは、一番最初に、凛太郎と出会うシーンでは、私が勝新の真似をして、外のひらけた場所で型をやっているときとか、本当にどこにも壁がなくて、どこにも避けるところがなくて寒いなっていうのとか。あとは、秘密基地のワゴン車の中とか。
金子:結構、寒くて、僕は震えていたんですけれども、伊藤さんは、強くて。そんな感じを一切、出さなかったので、凄いなと思いました。こんなに華奢で細いのに、凄いなと思って、俺も頑張ろうと思ってやっていました。
伊藤:そうだったんだ。
ーー全部、夏休みという設定ですよね。
松本監督:そうです。
ーー監督は、映像上で夏に見えなくてはならないような苦労はありましたでしょうか。
松本監督:そうですね。スタッフは皆、ダウンとか着ているので、本当に申し訳ないと思いつつ、「用意!」でスタッフが「7月!」と叫んで。
金子:そこで思い出すんですよ。「そうだ7月だ」って。
伊藤:すごく言ってくれて。「7月!」「8月!」と言ってくれて、「夏だね」って、夏のテンションになって。そのひと言がないと、凍え死にそうになっていました。
ーーそのひと言でスイッチが切り替わるというのは、やっぱり、役者さんというのは凄いですよね。本当に、お二人だけではなく、周りの共演の皆さんも、すごく魅力にあふれていたのですけれども。現場の雰囲気は、どういう感じだったのですか。ライバル同士でピリピリしていたとか(笑)。
伊藤:私は、役に入るというのは、格好良すぎるのですけれども、ハダシとしては、皆んなと現場でないところでも仲良くしないと。それは、松本さんとも最初にお話したのですけれども、いかに、女子三人組が仲が良いのか、ハダシ組の関係性だったりとかが、本当に仲良くならないと、画面に伝わらないかもしれないと思ったので、人見知りはしていたけれども、頑張って、自分から話かけにいって。そうしたら、皆んなが、この作品を愛してくれているから、皆んなが同じ気持ちになって。UNOをしたりとか。
金子:僕は、逆に未来から来た人なので、「馴染みすぎだ」と言われました。「普通に肩を組んでいるみたいだ」と、注意をされました。
ーー花鈴さんともライバルなのに、どこかに友情もあるというのがとっても素敵ですね。
伊藤:私もそこの関係性が大好きで。撮影していたときは、そのシーンを撮っていたけれども、改めて、こういう風に形になって。花鈴との友情。お互いにライバル同士だけれども、映画がお互いに大好きだからこそ、お互いにリスペクトし合って、助け合っているんだというのが、画面を通して自分に伝わったので。
ーー花鈴組が最後に手伝うシーンは、泣けますよね。観る度に、あそこのシーンでは、涙汲むんですけれども。監督、皆さんも気になっていると思うのですけれども、ビート板とか、ブルーハワイとか、どこから名前がついたのですか。
松本監督:名前は、三浦さんと一緒に考えたのですけれども、とにかく、夏っぽい名前を考えました。
ーーそういう意味だったのですね。
松本監督:はい、すみません、浅い理由で(笑)。
ーーありがとうございます。本当に見所がたくさんある作品なのですが、皆さんから、お気に入りのシーン、ここが好きだというシーンをお伺いできますでしょうか。
金子:どこだろう。でも、ハダシ組が皆んなで撮るぞと、色々なシーンを撮っているところが好きです。ワンカットで神社の殺陣のシーンを撮っているところが好きですね。
伊藤:本当に、ハダシとしても、自分としても、イノタロウとネノスケが好きで、あの格好をして海で居るだけで、「早く撮りたい」みたいな。ここの二人を撮った後の上手くいかないとか、頑張っているところとかは、一緒に撮っていて楽しかったし。本当に格好良くて。イノタロウとかネノスケとか、マジの武士。ゴリゴリの。
金子:高校生ではない(笑)。
伊藤:高校生ではない(笑)。その二人が並んでいるのが、私は大好きです。
ーー監督はどうでしょうか。
松本監督:僕は、ラストシーンのとくに、ラストカットですね。二人が見つめるところで。ちょうど撮影も、最後の最後に撮ったので、他のキャストも帰っちゃって、本当に二人だけの空間で。二人とスタッフだけの空間で、本当に、僕はやれることがないなと思って。最後の表情とか。まず、ハダシを撮っていて、ハダシが素晴らしくて、凛太郎のところにいって、「これをどうしようか」「ハダシが素晴らしすぎて、凛太郎をどうしようか」と話にいって、金子君が「任せてください」と言ってくれて、じゃあ、「お任せします」という感じでした。
金子:すみません。
松本監督:ラストシーンは、良いものが撮れたと、本当に思っております。
金子:正直、めっちゃ、ビビっていました。めちゃくちゃ、(ハダシが)良い表情をしているよ。どうしようみたいな。
松本監督:一瞬、二人で話しました。「どうする」って。
金子:一瞬、「どうする」って話しました。
ーー素晴らしいラストシーンにいきついていたと思います。ありがとうございます。最後に、皆さまから、ひと言ずついただいて、しめたいと思います。まずは、伊藤万里華さん、お言葉を頂戴いただけますでしょうか。
伊藤:はい、この映画は、時代劇が好きな人も、映画が好きな人には、もちろん、観て欲しいのですけれども、今の時期(コロナ禍)には、なかなか物作りであったり、何かを作る一歩が踏み出せていない状況が続いていると思うので、この映画を観たときに、「何か自分もやってみよう」と思ったり、少しでも明るい気持ちになれて、「映画って素晴らしいな」って、皆んなに思ってほしいし。この作品は、映画館で楽しんでもらいたいなと思います。本日は、本当にありがとうございました。
ーー続きまして、金子大地さん、よろしくお願いいたします。
金子:はい、本当に、今日は、こういう時期なのに、足を運んでくださいまして、ありがとうございます。この映画は、観た後に、ちょっとホッコリするような映画なので、こういう時期に、少しでも元気を出していただけたらと思います。『サマーフィルムにのって』をいっぱい広めてください。本当に、皆さんの力で、この映画がもっと大きくなると思うので、よろしくお願いいたします。今日は、ありがとうございました。
ーーありがとうございます。それでは、松本壮史監督、お願いいたします。
松本監督:こんな時期に、劇場まで足を運んでくださり、ありがとうございます。この映画は、出来てから、まだ5人くらいしか鑑賞がされていなくて。本当に、ひとりひとりに話を聴きたいのですけれども。というような感じなのですが、来年公開で、少しでも長くスクリーンで愛される作品にしていきたいと思うので、皆さま、お力をお貸しください。今日は、ありがとうございました。
《 舞台挨拶の概要 》
開催日:2020年11月2日(月)
会場:TOHOシネマズ六本木 スクリーン2
登壇者:松本壮史(監督)、伊藤万里華、金子大地
[ スチール:©︎サマーフィルムにのって製作委員会/文 おくの ゆか ]
《 『サマーフィルムにのって』ストーリー 》
劇団ロロ主催の三浦と映像監督の松本壮による完全オリジナル作品。時代劇に夢中な女子高生監督ハダシや、謎の青年・凛太郎など、新世代の若手俳優陣の魅力にあるれている。新しくて懐かしい青春SF映画の誕生!
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