『港町』第68回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門にてワールドプレミア上映!
(C)Laboratory X, Inc.
『港町』第68回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門にてワールドプレミア上映!
ベルリナーレで想田和弘監督の観察映画・第7弾が上映!
ワールドプレミアや海外のレビューも好評!
◽️映画『港町』(2018)
『選挙』(2007年)、『精神』(2008年)をはじめ、映画を作る度に国内外で高い評価を受ける映画作家・想田和弘監督の「観察映画」の新境地。現代映画のひとつの到達点ともいわれる観察映画・第7弾が第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門にて現地時間の2018年2月17日にワールドプレミアを迎えた。
プレス・映画関係者向けの試写会では、満席近くの会場を埋め尽くす観客から、上映後の大きな拍手とともに「感動した」との声もみられている。
「『港町』それは、私がこれまでに観た過疎化が進む町を撮す映画の中で、最も鋭く、最も美しく暖かく描かれた素晴らしい作品だった。」
POINT OF VIEW INTERNATIONAL
ワールドプレミアは、満席の中で上映が行われて、世界中の人々が見守る中、『港町』が無事に産まれた。
◽️第68回ベルリン国際映画祭『港町』紹介
(ベルリナーレの紹介動画では、公式の予告編とは違う角度から観察ができるだろう)
◽️作品の解説
美しく穏やかな内海。小さな海辺の町に漂う孤独と優しさ。やがて失われてゆくかもしれない、豊かな土地の文化や共同体のかたち。そこで暮らす人々。静かに語られる彼らの言葉は、町そのもののモノローグにも、ある時代のエピローグにも聞こえる。そして、その瞬間は、不意に訪れる。
≪観察映画≫
本作の撮影も、計画性とは無縁だという。前作『牡蠣工場』(2015年)で牛窓を歩き回っている最中に、港で作業するワイちゃんと偶然出会う。
牛窓版「老人と海」のようだと、ワイちゃんの漁や語りを撮るうちに、カメラのフレームにクミさんも乱入。そこからさらにさまざまな人々に遭遇して、牛窓をぐるりと一回りするようにして、知らないうちに映画の素材が揃った。
想田監督は、映画作家として「観察」をキーワードにドキュメンタリーを作り続けてきた。事前のリサーチやテーマ設定、台本作りをせずに、目の前の現実をよく観てよく聴きながら、行き当たりばったりでカメラを回すという。結論先にありきの予定調和を排除するための方法論なのだ。
そして、「観察する力」は、撮る側だけでなく、観る側にとっても重要だという。2018年4月7日(土)からの日本公開に向けて、観察して観るために想田監督の掲げる「観察映画の十戒」に目を通しておこう。
≪観察映画の十戒≫
1. 被写体や題材に関するリサーチは行わない。
2. 被写体との撮影内容に関する打ち合わせは、原則行わない。
3. 台本は書かない。作品のテーマや落とし所も、撮影前やその最中に設定しない。行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。
4. 機動性を高め臨機応変に状況に即応するため、カメラは原則僕が一人で回し、録音も自分で行う。
5. 必要ないかも?と思っても、カメラはなるべく長時間、あらゆる場面で回す。
6. 撮影は、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」を心がける。「多角的な取材をしている」という幻想を演出するだけのアリバイ的な取材は慎む。
7. 編集作業でも、予めテーマを設定しない。
8. ナレーション、説明テロップ、音楽を原則として使わない。それらの装置は、観客による能動的な観察の邪魔をしかねない。また、映像に対する解釈の幅を狭め、一義的で平坦にしてしまう嫌いがある。
9. 観客が十分に映像や音を観察できるよう、カットは長めに編集し、余白を残す。その場に居合わせたかのような臨場感や、時間の流れを大切にする。
10. 制作費は基本的に自社で出す。カネを出したら口も出したくなるのが人情だから、ヒモ付きの投資は一切受けない。作品の内容に干渉を受けない助成金を受けるのはアリ。
(公式サイト http://minatomachi-film.com/ より引用)
◽️映画情報
英題:Minatomachi (Inland Sea)
監督:想田和弘
製作年:2018年
上映時間:122分
製作国:日本・アメリカ合作
配給:東風、gnome
◽️監督プロフィール
想田和弘(そうだ・かずひろ)
1970年栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。1993年からニューヨーク在住。映画作家。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践している。
監督作品は、『選挙』(2007年)、『精神』(2008年)、『Peace』(2010年)、『演劇1』(2012年)、『演劇2』(2012年)、『選挙2』(2013年)、『牡蠣工場』(2015年)があり、国際映画祭などでの受賞多数。著書は「精神病とモザイク」(中央法規出版)、「なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか」(講談社現代新書)、「演劇VS映画」(岩波書店)、「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」(岩波ブックレット)、「熱狂なきファシズム」(河出書房新社)、「カメラを持て、町へ出よう」(集英社インターナショナル)、「観察する男」(ミシマ社)など。 本作に続き、初めてアメリカを舞台にして撮った『ザ・ビッグハウス THE BIG HOUSE』(観察映画第8弾)も2018年6月公開予定。その制作の舞台裏を記録した単行本「〈アメリカ〉を撮る(仮)」(岩波書店)も刊行予定。
◽️映画予告編
◽️シアター情報
2018年4月7日(土)より、東京・渋谷 シアター・イメージフォーラムにてロードショー、他全国順次公開。
シアター・イメージフォーラム
アート系の新作ロードショー、気鋭監督作品によるレイトショー、企画上映など、イメージフォーラムならではの独自な個性的な作品をラインナップ。新作ロードショーでは世界各国のアート系、作家性あふれる個性的な新作を続々公開。
<渋谷から>
JR渋谷駅より徒歩8分。東口駅前の宮益坂上がりきり、ガソリンスタンドの五差路を直進、一つ目の信号を右に入る。
※宮益坂、青山通りの左側の歩道を歩くと歩道橋を使わずに済みます。
<表参道から>
徒歩10分。青山通り渋谷方向、青山学院を過ぎ、二本目の通り左入る。
〒150-0002東京都渋谷区渋谷2-10-2
TEL:シアター (03)5766-0114
映画館公式サイト:http://www.imageforum.co.jp/theatre/
[写真:(C)Laboratory X, Inc. /翻訳・文:シネマ侍編集部 おくのゆか]
2018年2月19日記事内容を追記更新
0コメント